やりたい夢や目標を優先するべきか、就職して安定の道を進むのか、迷う人も多いのではないでしょうか。
日本の就職市場は若年層の方が就職しやすい環境になっており、「30代まで夢を追いかけていた」という方がいざ転職を使用としても、転職先が狭まってしまう現状があります。
この記事の筆者は20代後半までバンド活動をしており、実際に27歳で初めて転職活動をした時には様々な苦労がありました。
そこで今回は「やりたいこと」と「就職」に迷った時にどのようにするのが良いのか、ケース別に解説して行きたいと思います。
1.「やりたいこと」と「就職」に迷う方の3つの判断ポイント
早いうちからやりたいことが明確になっている人、というのはそれだけで珍しい存在です。一度しかない人生でやりたいことが明確に定まっているという状態は素晴らしいことで、出来るだけ自分の情熱を注ぎたいと考えていること自体に間違いはないと思います。
しかしそれだけに、周囲の反対があったり「好きなことを仕事にすることが出来るだろうか?」と不安に感じつつも、どのように自分のキャリアを作っていくのが良いのか迷ってしまう方もいるでしょう。
そこで以下では、やりたいことと就職に迷う方に向けて3つの判断ポイントをまとめています。
1-1.ベスト・ベター・マストの3つの軸でキャリアプランを立てる
仮に安定性の高い就職先を選んだとしても、自分の思い描いたキャリアプランの通りに人生を進めている方はごくまれです。働いてみた結果、職場環境が合わずに早期退職となったり、成果を上げられずに自信が無くなってしまうことは自然なこととして起こり得ます。
特に、「やりたいこと」が明確に決まっている方ほど、自分の想像している未来が外れてしまう可能性は高いと言えます。そのため、自分の中でのキャリアプランをベスト・ベター・マスト、の順に分けて区別しておき、予想が外れた場合でも大きな失敗に繋がらないよう準備しておくと良いでしょう。
ベスト:自分がこうありたいという理想の状態・条件
例えば、やりたいことがミュージシャンで「将来は制作した楽曲の収益とライブチケットの販売で生活したい」ということがベストなのであれば、自身の思い描く生活レベルから逆算した収益を割り出します。それが年収400万円なのであれば、製作費や交通費などの経費を除いて、月に平均34万円を稼げるように楽曲制作とライブのスケジュールを組む必要があるでしょう。
ベター:1番思い描いていた状態ではないが、まずまずといった状態・条件
一方、ベターはもう少し緩く設定します。「音楽活動に支障が出ない仕事で両立したい」などのように決め、休みが取りやすくそこそこの給与が得やすい業種を探すと良いでしょう。例えば、音楽活動で年間100万円かせぎつつ、他の仕事で300万円を稼げればベストの状態とかなり近い環境にすることができます。
マスト:最低限確保しておきたい状態・条件
最後はマストの条件です。「音楽を続けたい」「将来は結婚もしたい」「外食が出来る収入が欲しい」「車や家が欲しい」など、それぞれ自分が描く未来で絶対に外せないものを選び、それに必要な収入を逆算します。
ここで注意しておきたいのは、「マスト」の条件が「ベスト」の状態を上回ってしまうのであれば、ベストの条件もそれに合わせる必要があるということです。ベストが年収400万円だったのに、マストに欲しいものは年収600万円ないと実現できないのであれば、ベストの状態で年収600万円になるよう設定してみましょう。
また、マストに設定したプランであってもその通りに進むとは限らないうえ、実際に年齢を重ねるごとに価値観が変化することもあるでしょう。その際は改めてこの3つの軸を再設定しながら、自分の将来に対するポジションをメンテナンスする視点も大切です。
1-2.年代別に求められる市場価値から自分の年齢を逆算する
就職をするということは、企業が新たな労働力を購入するということであり、価格(給与)に見合った成果を求められることになります。ここでの注意点は、年齢を重ねるごとに企業からの「期待値」が上がるということです。
30代で20代と同じレベルの経験しかしていないと、企業は20代の方を採用する傾向があります。この市場からの期待値は覆すことが非常に難しく、年齢を重ねるほどに年々重く押しかかってきます。
そこでまずは自分の年齢と市場から求められるキャリアを逆算し、「何歳までにどんな経験・スキルが必要なのか?」ということを考えておくと良いでしょう。
例えば、自分の目標が「35歳までに年収800万円がほしい」ということであれば、30~40歳向けに年収800万円の条件で募集している求人を確認してみます。ここで営業であれば「マネージャー経験」、SEであれば「〇〇系のプロジェクトマネージャー経験」などのように条件が記載されています。35歳までにこれらの経験を経るにはどのようにすれば良いのか?ということを一つ一つ組み立てていくと良いでしょう。
目標達成に必要な経験やスキルが明確になると、「〇歳までならやりたいことに集中できる」ということに気が付きます。就職に迷うときは、このように自分の年齢と将来求める年収を逆算して考えると不安が解消され、より「やりたいこと」に真剣に向き合えることもあります。
1-3.「やりたいこと」を名詞ではなく動詞で考えてみる
やりたいことを名詞ではなく、動詞で考えてみることも大切です。例えば、先の例の「ミュージシャン」であっても色んなタイプがいます。
ライブで歓声を浴びるのが好き、楽曲を発表して評価されるのが好き、いろんな人と音楽を通してコミュニケーションできるのが好きなど、それぞれが求めていることは「ミュージシャン」という言葉一つ取ってもまちまちです。
例えば「楽曲を発表して評価されるのが好き」という方は、新しいWEBサービスなどを企画して発表することでもその気持ちを達成できる可能性があります。また、「ライブで歓声を浴びるのが好き」という方は営業マンとして成績を上げて称賛されることでも良いかもしれません。このように動詞で自分の目的を言語化することで、より深く本来の欲求を知ることができます。
本来の欲求と近い仕事を選択することで、「やりたいこと」と「就職」の両方に良い効果を期待することもできます。必ずしも「やりたいこと」を他の仕事で代替できるというわけではありませんが、自己分析のポイントとして試してみることをおすすめします。
まとめ
今回は「やりたいこと」と「就職」に迷う方に向けて3つの判断ポイントをご紹介しました。
一度しかない人生でやりたいことをやり切りたい、という気持ちはとても素晴らしいことで、その分、将来の不安やそのバランスのとり方が気になる方も多いと思います。
不安になる部分は、自分の求めることや、そのために必要なことを明確に具体化していくことで解決できることがあります。今回紹介した3つの判断ポイントが、お役に立てれば幸いです。